骨活のすすめ―骨粗しょう症対策[勉強編]

骨粗しょう症とは、骨の強度が低下して骨折が起こりやすくなる病気です。 骨は弱っても自覚症状がなく、気がついた時には症状がかなり進行している場合が少なくありません。 特に女性は、更年期以降一気に骨が弱る傾向がありますから、セルフケアを意識的に行うことが大切。毎日の生活習慣にちょっとした工夫をすることで、いつのまにか骨折や、いつのまにか老人体型を防ぐことができます。題して「骨活」、コツコツと続けるコツをご紹介します。

50歳過ぎた女性は骨粗しょう症予備軍です

まずは、あなたの骨の状態をチェックしてみましょう。
いくつ当てはまりますか?

(A)50歳を過ぎていて、すでに閉経している(男性の場合―70歳を過ぎている)。
(B)ここ1~2年で身長が3cm以上縮んだ。
(C)最近、背中が丸くなってきた。
(D)親や祖父母、親戚の中で、高齢になって背中が丸くなった人、腰が曲がってしまった人が数人いる。
(E)ちょっとしたことで骨折したことがある。
(F)立ち上がる時、寝返りを打つ時に背中や腰に痛みがある。
(G)糖尿病、肝臓の病気、慢性腎臓病、関節リウマチなどの持病がある。
(H)たばこをよく吸う。
(I)お酒をたくさん飲むほうだ。
(J)若い時によくダイエットをした。


最初の(A)(B)(C)を含めて複数の項目に〇をつけた方は、骨粗しょう症になっているかもしれません。

早めに整形外科や内科、骨粗しょう症専門の医療機関を受診しましょう。
それほど気にならない場合でも、自分の骨の健康度を把握しておくことは大切ですから、一度、骨密度を測ってもらうことをお勧めします。

自治体によっては、40歳以上の女性を対象に骨粗しょう症検診を行っていますから、自治体の保健センターに問い合わせてみましょう。有料ですが、骨密度を測ってもらえる自治体もあります。
女性は50歳を過ぎたら、男性は70歳を過ぎたらリスクが高まります。男性も、自分の骨の健康度をチェックしておきましょう。

更年期を過ぎると起きる体の変化

誰もが年をとるとホルモンのバランスが崩れます。
女性は50歳前後の年齢になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することでホルモンバランスが崩れます。

今では、このホルモンの不均衡が加齢に関係する多くの精神疾患や内科疾患の原因になっていると考えられています。

ホルモンのバランスが崩れると…
エネルギーレベルの低下
骨と筋力の衰え
肺活量の減少
腹部につくぜい肉
同時に複数の仕事がこなせない
物事をまとめる能力の減退…等

このホルモンの不均衡が筋肉・骨密度の減少と体脂肪の増加につながり、それが脳神経にも影響して認知機能も衰えることがわかっています。
更年期障害と言われる特有の不定愁訴(ほてりと発汗、冷え、めまい、動悸、息切れ、頭痛、イライラ、憂鬱感など)があると自覚しやすいのですが、そのような症状がなくても骨粗しょう症は進行しますから、早いうちから充分な注意が必要です。

骨粗しょう症が起きるメカニズム

骨の強さは、「骨密度70%」+「骨質30%」で決まります。

骨密度とは、骨を形成するカルシウムやマグネシウムなどのミネラルがどれぐらい含まれているかの指標。骨質は、骨の構造や新陳代謝、骨に含まれるコラーゲンやたんぱく質といった成分などが関係しています。

そして、骨は毎日、新陳代謝し続けています(骨代謝)。
古くなった骨は破骨細胞によって壊され(骨吸収)、骨芽細胞は壊した部分に新しい骨を作ります(骨形成)。

加齢によって、このバランスが崩れ、骨を壊す働きが骨を作る働きを上回ることで骨粗しょう症が発症します。
気づかずに骨粗しょう症が進行すると、背骨の圧迫骨折のリスクが高まります。
骨がもろくスカスカになっているので、体の重みに耐えられず、何かの弾みで椎骨がつぶれてしまいます。これが圧迫骨折です。ちょっとした拍子に尻もちついたり、重い物を持ったりした時、あるいは深い咳でも起こります。

骨は弱っても痛みが伴わないため、つぶれて初めて痛みを感じ、気づく場合が多いのです。高齢者の場合は、その痛みにも気づかずドミノ倒しのように連鎖し、重症化する場合もありますから要注意です。
<参考文献>
●「シニアの骨粗しょう症・圧迫骨折を防ぐ!(別冊NHKきょうの健康)」NHK出版
●日刊スポーツコラム「鎌田實:認知機能を落とさない生き方」
●公益財団法人骨粗鬆症財団HP
●東大阪病院HP骨粗鬆症について

ストレスマネジメント / 三浦真津美 先生

<活動内容>
自身の経験から、中高年・シニア世代は新たなライフ・ステージに向かうにあたって、弱りがちな心と体をケアすることが必要と思い、「エムズ・セルフケア」を設立。
ヨガをベースに、呼吸法、アロマ、セルフマッサージ、エクササイズ、メディテーションなど、様々な観点から、セルフケアやストレスマネージメントについて指導を行っている。

<所属>
エムズ・セルフケア

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