寝る前のヨガストレッチで眠りの質を高めませんか?[勉強編]

「夜なかなか寝付けない」「途中で目が覚めてしまう」「朝、起きても疲れを感じる」 年をとると、眠りづらさを感じているシニアが増えています。 床につく直前までテレビを観ていたり、ベッドの中でスマホを眺めたりしていませんか? 電子機器の眩しい明かりは、生体リズムを狂わせることがわかっています。 そんな時は、生活習慣を少し変えてみましょう。 簡単にできて、眠りづらさを改善する気持ちの良いストレッチをご紹介します。 寝る前に習慣化することで全身に血流がめぐり、緊張がゆるみ、脳をお休みモードにしてくれます。続けるうちに質の高い睡眠が得られるようになり、翌朝の目覚めもスッキリします。

眠りが浅くなるのは年のせい?

60歳を過ぎると「眠りの質の低下」を感じることは少なくありません。
それは一つに、加齢による体の変化が関係しています。

●深い眠りの減少
私たちの眠りは、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)のサイクルを一晩で数回繰り返しています。深い眠りは睡眠の前半に多く見られ、脳が休息している熟睡の状態です。この時間は加齢によって減少していきます。一方で、浅い眠りの時間は相対的に長くなります。脳が活動している状態なので、中途覚醒や早朝覚醒が起こりやすくなります。
●睡眠ホルモン「メラトニン」の減少
私たちの体は、夜になると体内の睡眠を促すホルモン「メラトニン」で眠気をもよおすようになっています。年齢を重ねるとこのメラトニンの分泌量が減ってきます。これが「なかなか寝付けない」、「寝てもすぐ目が覚めてしまう」といった「眠りづらさ」につながっています。
●夜間頻尿
男性は前立腺肥大などの病気や排尿障害が原因で、女性は骨盤底筋群のゆるみなどが原因で頻尿になる傾向があります。また、高齢者は加齢により夜間に尿を減らすホルモンが減るため、夜間多尿になることも眠りづらさにつながります。

ヨガで自律神経のリズムを回復してあげよう

まずは、高齢者が若い時よりも睡眠時間が減るのは、当たり前ととらえましょう。大切なのは、そのぶん質を高めるために生活を見直すこと。

特にコロナ禍にあって、身体は運動不足気味。代謝が減って、筋肉や関節が凝り固まってしまいがち。感染リスクを気にすることで、メンタルでも緊張と不安をため込んでいます。
私たちの生命活動は、自律神経といって、無意識のうちに体内環境を整えるために働いてくれる交感神経と副交感神経によって支えられています。車で例えると、アクセルの役割を担う交感神経とブレーキの役割を担う副交感神経の相反する作用の程よいバランスで成り立っています。

ところが、現代の高ストレス社会の暮らしでは、多くの人が緊張から常に交感神経が優位の状態を強いられ、副交感神経が働きにくくなっています。
ヨガは、こういった自律神経の働きを本来の生体リズムに回復してあげるのを最も得意としています。
日中にため込んでいる緊張をほどき、眠りの質を高める簡単なヨガストレッチをご紹介します。寝る前に10分~20分間、布団の上でも行えるプログラムです。

効果的なヨガストレッチのコツ

始める前に、大切なコツが二つあります。
ひとつは、ゆったりとした呼吸を流すこと。鼻から吸って胸を広げ、鼻もしくは口から吐きます。「クレンジングブレス」と言って「ハ~」とため息のように吐いても気持ちいいです。

二つ目は、緊張と弛緩を感じること。私たちの体は、意識的に緊張させた後に緩めると、より緩むようにできています。そして、緩んだ体の内側の感覚を脳で感じることです。ポーズとポーズの合間に、血流やリンパの流れ、脈打っている感覚、体の奥が温かくなった感覚を味わいます。
この作業を意識的に行うことで、心身の緊張から解放され、心地よく眠りにつくことができるのです。

次回「寝る前のヨガストレッチで眠りの質を高めませんか?[実践編]」で、めぐりをよくして熟睡モードへ導くストレッチをご紹介します。

ストレスマネジメント / 三浦真津美 先生

<活動内容>
自身の経験から、中高年・シニア世代は新たなライフ・ステージに向かうにあたって、弱りがちな心と体をケアすることが必要と思い、「エムズ・セルフケア」を設立。
ヨガをベースに、呼吸法、アロマ、セルフマッサージ、エクササイズ、メディテーションなど、様々な観点から、セルフケアやストレスマネージメントについて指導を行っている。

<所属>
エムズ・セルフケア

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